読むめし

口で咀嚼するたけでは足りず、観念でも食べ物を愛でようとする人間

台湾の故宮博物院に行った。感想

これもまたベタですが、行ってきました。

 

感じたことを書き連ねて行きます。

 

めくるめく財宝の連続で、たぶん金額にしたらとんでもない価値の展示物でも相対的にスルーせざるを得ない。

そんな世界でした。

 

日本の博物館って、その地域で出土した石器や土器や、藩主の家に伝わった家宝や祭りで使われた服、近現代まで使われていた脱穀機なんかが展示されているじゃないですか。

そういうものをイメージして訪ねたら違いました。

 

史料というよりは、財宝が並んでいた訳です。

 

故宮博物院の成り立ちというのが、中国大陸のほうで内戦をやって、片方が台湾へ来たのですが、そのときに大陸の財宝をごっそり持ってきたというものなんですね。

広大な国土と世界一の人口を擁する国の頂点を極めた人たちの至宝、ハンパないです。

 

いわゆる玉、「ぎょく」に施された繊細な装飾のが多く見られ、その代表が有名な「白菜」なんですね。

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私は日本の博物館でそのような種類のお宝を見た記憶がないのですが、故宮博物院には延々と華麗な彫刻の玉が並んでいます。

 

下の写真は、象牙でできたレース様の球の中にまたレース様の球が23層もあるとか。

たぶん値段付けられませんよねこれ。f:id:baroclinic:20231128160116j:image

たとえば文鎮のひとつにもきっと命を懸けた職人や宮廷の権力闘争ドラマがあったと思うのですが、めくるめくお宝の連続をダーッと見るしかありません。

いやもちろんじっくり見るのが目的の人は何日でもかけていいと思うのですが、だいたい半日でざっと見とこうという月並みな旅行者は命懸けの傑作も流して見てしまうという、ある意味罪な場所です。

 

あと思ったのは、自分がプラスチック文化の中で生まれ育ったことです。

透き通った器や象牙の華麗な彫刻などは、20世紀にプラスチック製品が出回るまでは貴重なものだったと思うのです。

それが、機械で安価に大量にできるようになってしまった。

 

私の目はフシ穴ですので、目の前の盃の材質など分からないのですが、「きっと物凄い高級」と思いつつ進むしかありません。

 

そんな贅沢を浴びた場所でした。

 

さて、歩き回ったら休憩ということで、上の階にあるレストランへ。

香港スタイルのお料理と、ちゃんと淹れたお茶をいただけます。


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せいろで蒸したエビシウマイ。まさに香港スタイルってやつですね。風味も食感もエビプリの極致でめちゃくちゃ美味しかったです。


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こちらは甘味、カステラです。

台湾カステラというのがふわふわでデカいやつらしいのですが、こちらは日本に近い香港のものなのか?

そこらへんは分かりませんが、食べてみたらとても日本のと同じ味でした。

上に金箔、お皿に紅葉とお上品な逸品ではあります。

 

写真に収めていなかったのですが、カステラとセットでいただけるお茶が美味しかったです。

凍頂烏龍茶だったかな。急須から小さな器に注いでクイッと何杯もいただきます。

お代わりもあり、小さなポットがテーブルに置かれるのでそれを新たに急須に注ぎ、3分待ってからいただきます。

お茶のキュッとした風味がしっかりあって、健康になる気がします。

 

たしかに台湾でいただくお茶は美味しい。

それについては別の日記で書こうかと思います。

 

見過ごされがちですが、博物院の庭園も良かったです。

日本の庭園のワビサビや枯山水とは異なる、人間が介在しつつも荘厳な箱庭でした。

中国の王宮ドラマが展開しそうな視界です。


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台湾の、というよりは大陸の帝国の粋を集めた雰囲気で「我こそは帝国を継ぐ者である」という気概を感じました。

 

以上、そんなこんなで故宮博物院すごかった。

そこで考えたことを書きました。