18きっぷで静岡の旅 富士市吉原の、つけナポリタンは成功しすぎたのか?
つけナポリタン?
線路の上を渡って岳南鉄道の改札に行くと、昔ながらの切符を切ってくれます。Suicaは使えません。
ホームで待っていると、1両編成の電車がやって来ました。
レトロ感満載です。吉原駅から吉原本町まで2駅で210円ですが、レトロ的なアトラクションとして楽しめます。
吉原本町で電車を降りると、そこそこ長い商店街があり、それが「つけナポリタン発祥の地」です。
なぜそのような場所にあるかというと、東海道五十三次の宿がこの吉原本町商店街の場所にあったからなんですね。
江戸時代の初期は海に近いJR吉原駅付近だったのですが、津波で内陸に移り、そこでもまた津波が来て、より内陸にある今の場所に落ち着いたということです。
現在は、街の造りは明るいけれども、正直静かな商店街になっています。
アドニスは10:00開店ですが、つけナポリタンは11:30からと言われ、その時点で11:15頃だったので待つことにします。
(上の写真で、真ん中の小皿は取り分け用です。お店の人、かたじけない)
トマトベースのスープの中に、茹で卵、大きな鶏胸肉、マッシュルーム、青梗菜と、たっぷりとろけるチーズが入っています。
たっぷりとろけるチーズが濃厚に麺に絡んで上がってくる、かつて世界にこんな料理があったでしょうか。
って、チーズの伸びをうまく写真に収められなくてすみません。
身悶えするチーズの量でした。隠れているけれど、相当です。
そして、なんと麺が、麺だけでも美味しい。
太めで四角っぽい生麺に、桜えびを炒めたオイルを絡めた感じです。
桜えびの香ばしい塩味とオイルのコク、そして歯ごたえのある麺が相まって、これだけでもしっかり一品になれます。
一度に6食しか作れず、お店は満席で、しかも我々は沼津で柱状のかき揚げ丼を食べた後であり、この後も未知の食べ物のために胃を空けておかなければならない、そのような客観的な事実は全て「おかわりしない」という結論に行き着くのに、
麺おかわりしたい!
と主観が強く主張して、あわや客観的状況をねじ伏せるほど美味しかったです。
何とか踏みとどまりましたけれども。
アドニスは、カレーやピザ、グラタンなど昔ながらの洋食メニューとコーヒー・ケーキが中心の喫茶店だったのだと思います。
そして、それら昔ながらの洋食メニューも断じて時が止まっている訳ではなく、形態は洋食でありながら、味を常に進化させるべく研鑽を積んでいる。そこから生まれたのが、つけナポリタンなのだ。
と私は思いました。
他の料理食べてないけど。
次回来たら、つけナポリタンの他に料理を何品か頼むことが、お店にとっても自分達にとっても良いことだろうと想像しています。
商店街振興のために開発したメニューがヒットしすぎて店のオペレーションを一変させてしまったけれど、商店街はアイデンティティを確立し、全国区になりつつあります。
それは、本当に美味しいものを作ったからです。
お店の外観の写真を撮っていたら、通りを歩いていたスナックのママさん風のお母さんに話しかけられました。
「ここねえ、道のこっちに行くと富士山が綺麗に見えるのよ。あら、今日は曇っていて見えないわね。晴れているとね、とても綺麗なの」
観光客が出現し始めた商店街で、誇らしく語りたい。そんな様子でした。