無茶振りからの進化 - 呉の大和ミュージアム
行ったことはなかったけど、なんとなくカッコいい街だと思っていました。
瀬戸内の水軍の港であり、近代ではいかつい船をガシガシ造る、海とともに生きる街です。
2016年のGW中、土砂降りの中で立ち寄った「大和ミュージアム」は、老若男女で大盛況でした。
・史上最大の戦艦
・呉の造船所で造られた。
だそうです。基本的なことですみません。
上の写真はミュージアムの目玉、戦艦大和の10分の1モデルです。
第二次世界大戦中の製造なんて、もうてんやわんやの間に合わせという想像をしております。
てんやわんやで物資が逼迫する中で、軍部からは工期短縮や仕様変更などの要請もおそらくあり、空前かつ怒涛の史上最大プロジェクトを完遂したのがこの呉の造船所なのだろうと、ミュージアムを観て感じました。
軍部からの無茶振りに応えるべく、本気で工期短縮に取り組んだ結果が現代の日本の様々な製造手法につながります。
しかも、工法や工程自体も要求の変化に対応して絶えず進化しました。
この呉の戦艦大和の製造の際に明確に取り入れられた工法として「ブロック工法」が有名です。
おおざっぱに言うと、それまで船を造るときは端っこから順番に作っていたのですが、それぞれの部分ごとに並行して造って最後につなげた方が早いのでは?ということです。
この発想は世界各地あるいはこの造船の前後でもあったと思われますが、明確に意識して採用したのがこの大和らしいです。
私は不運にもIT業界の職を得たことが無いのですが、この戦中の「ブロック工法」は、モジュール化のような発想と似ているのかもしれません。
そういった非常事態下の本気が、現代まで連綿と通じて日本の工業製品の品質を支え続けている街なのだと、大盛況の博物館を訪ねて認識しました。
ちなみに、半導体チップのウェハを切断する超精密加工の(株)ディスコという会社が呉で始まり、現在は東京の大森・蒲田エリアに本社を構えていることも興味深いです。
やっぱりカッコいいなあ呉。