読むめし

口で咀嚼するたけでは足りず、観念でも食べ物を愛でようとする人間

新卒の女の子から来たメルマガ

就職難と年代を照らし合わせると、私はかなり悲惨なほうです。

学校を出たのは、氷河期の中でも谷底だった2000年の4月でした。

いろいろ世の中の訳が分からなかったので就職せず日銭を稼いでいたりした末に、リーマンショックで派遣切りに遭いました。

死ぬかと思いましたが一命は取り留めて、次第に開き直って今がありますが、就職とは、雇用とは、労働とは、といった問題は、まだ真正面から向き合えないほどの痛みをともなって渦巻いています。


さて昨日、派遣先の会社のメールに、頼んでもいないメルマガらしきものが届きました。

以前に機器のレンタルを依頼した会社からでした。

読み飛ばそうとしたのですが、つい全部しっかり読んでしまいました。

文章は、
「人気機材や新入荷などホットな情報をお届け」
と正直な目的から始まるのですが、メルマガ第1回目でそれに続いたのは、思いがけない投げかけでした。

「食レポしたことはありますか?」

お?このブログがそうっちゃそうだよ?

「私、食レポは苦手なんです。うまい言葉が出てこなくて」

わっかるー。

「でもお酒が好きなので、学生時代のアルバイトで試飲の販売員をしたことがあるんです。そのとき、味を表現するのにとても苦労しました」

「その問題を解決したのは、数字でした。お酒の特徴を、データから説明したのです。だから数字は、私を助けてくれるものとなりました。」

そっちに行ったのね。

「そんな私が、数字を示すお手伝いを精一杯させていただきます。お困りの際はご相談ください!」

そう来たかー!

いやあ、食レポで引き込まれたけど、読み終わって思ったのは、

最近の新卒の自己分析と表現力ハンパない

でした。

私は氷河期の谷底でも、そんなにきちんと自己分析しなかったよなあ。

就職で悩んで、ガリガリ自己分析して苦しみながら表現を掴むことは、かなり良いことだと思うのです。

(現在公開中の映画『何者』と原作の小説は、そんな現代の就活に向き合った稀有な作品だと思います。)


売り込みのメルマガなのに、私は彼女に返信したくて仕方ありません。

一行目にはきっと、
「就職おめでとうございます」
と書くでしょう。

祝いのお酒は何が嬉しいですか?

・・・たしかに数字で示してくれると探しやすいかも。

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(写真はある日の西小山です)

横須賀で軍艦に初めて乗る。

横須賀の街は、走ったり歩いたり、なんやかんやで結構訪れていたのですが、象徴的に海に浮かんでいる、あの軍艦に乗ったことはありませんでした。

あの軍艦とは、京急横須賀中央駅を降りて数分、海の間際にある三笠公園です。
三笠公園の海にたゆたっているのは、戦艦三笠であります。

戦艦ってさ、なんかこう、そういうの好きな人とか、よっぽど遠くから来た旅行者が見学するんでしょ?
という認識で、わたくし何度も横須賀を訪れていたのに入ったことがありませんでした。

今回初めて内部に入ってまず思ったのは、ヨーロッパの貴族っぽいということでした。

内装や調度品が、
「戦時中じゃないの?鬼畜米英じゃないの?」
と不思議になる絢爛ぶりでした。

無教養で恐縮でございますが、日露戦争では米も英も味方だったのね。

そんで、迫り来るロシアに脅威を感じた日本は、イギリスに戦艦を発注するのですね。
なるほど英国貴族風の内装な訳です。

で、日露戦争といえば日本が大国ロシアに勝利した戦争ですが、そのときに最も活躍したのがこの戦艦三笠だったようなのです。




引越して、そしてIKEAで夢をみる

あのう、引越しました。

昨年からこのブログをお読みの方はご存知かもしれませんが、このブログの最初のタイトルは
『こちら品川区食文学研究所』
だった気がします。

今年の2月、アパート建て替えのため立ち退きに遭って、目黒区に引越したので、タイトルを目黒区に変えたのですが、まさか8ヶ月で目黒区を去ることになろうとは。

ブログのタイトルどうするのよ。
もう地名は入れないんじゃないかな・・・

引越した理由は、通勤に便利だからと、何となく部屋が気に入ってしまったからです。

横浜のとある住宅街に引越しました。

仕事が一段落ついたら、物欲が湧いてきました。

IKEAの店内を歩き回って新生活の夢にトキメキたくなりました。

はい、最寄りのIKEAは港北店で、数km走って行きました。

腹ごしらえは、恒例サーモンフェアの一環として、マリネサーモンのパスタサラダ348円です。
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ドレッシングがかかってなくて、どうすればいいの?と思ったけど、サーモンの塩辛さでいただくんだわ、きっと。
知らんけどそれがスウェーデン流に違いないわ。白ワイン、合う合う。

そいでね、いろんな形のビアグラスとワイングラスを勢いで買いました。だいたい100円から300円台ですからね。

奮発して帰りにハートランドを買ってビールを注いだ結果、気がついたのですが、
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グラス、ことごとくデカいわ。
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(撮影の時間帯が異なる点はご了承ください)
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居酒屋でグラスビール頼んでこれが出てきたら嬉しいけれど、1人で部屋飲みでそこまで盛り上がることは滅多にありません。

テンション上がり過ぎと、IKEAのスケールに巻かれた結果、グラス類は部屋のオブジェになる見込みです。
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パーティーを夢みるオブジェであります。
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シャンパン用のグラスには、ポプリ99円を入れてアート気分をアゲてやりました。
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あと99円のガラスの平皿も用途を考えず買ったよね。
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これもオブジェかもしれません。

それから形と風合いで、つい買ってしまったペン立て3点セット、299円也。
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こう、3つの容器が一つに収まる形状なのよ。
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あとは、4枚セットのキッチンクロス、何気にこれ買うのは3回目で、重宝しております。
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このブログで部屋食の写真を撮るときに敷いてあることが多いかもしれません。

IKEAニトリを歩いていると、聞こえてくる夫婦の会話がけっこう真剣なんです。

私が小さい頃、弟と走り回って周囲のジャマになっている間に、両親は真面目に具体的な生活を思い描いていたのかなあ。
なんて考えながら。

せっかく気に入った部屋に引越してしまったので、生活そのものを楽しみたいけれど、人生の先は分かりません。

ああ、ブログのタイトルどうしようかな。

佐原の小江戸散歩 そして豚肉

10月半ばの天気の変わりやすい日、千葉県の佐原に行って参りました。

途中、同じく千葉県にある佐倉に間違って目的地が設定されていたというハプニングも軽く乗り越えて、佐原を訪ねました。
東京・横浜方面から行く場合は、それほど方向が違っていないので、よかったね。

佐原は、現在は千葉県香取市の一部になっていますが、以前は佐原市が存在しました。

利根川沿いにあり、江戸からの水運の中継地で栄えた街です。

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あ、もちろん上の写真の川は利根川ではありません。
利根川デカいですからね。
利根川からちょろっと横に逸れたのがこの小川です。
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ここの岸に小舟をつけて荷物を運び出すほうがやりやすかったのでしょう。

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両岸に古い建物が並びます。
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観光客も、混まない程度にいて良い感じです。
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やっぱり川沿いが絵になるけど、川からそれた街角も、静かな佇まいがあります。
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街の人、あまり見かけない。
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一応商都だったと思うのですが、商売っ気が少ないです。

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晴れのち曇りのち晴れ、この日の雲の表情は豊かでした。

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利根川の堤防までも歩いて行けます。
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さて、商売っ気が少ない街で、やや難儀したのが食事です。

うなぎが名物らしいのですが、そんなに高いものを食べなくていいし、昔のお屋敷で食べるイタリアンも満席ですし、そもそもお店の数が少ないのです。

駅のほうまで行けば何かあるのでは?
と、川沿いの街並みから10分ほど歩いたのですが、チェーン店の影も見えず。
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佐原駅の建屋は、商家風です。青い暖簾が特徴的です。
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駅の横の、線路を跨ぐ階段が爽やかでした。

駅の近くまで来て、お店が少し集まっている場所にさえ飲食店が無い・・・万事休すかと思われた直後、見つけたのは豚肉のお店でした。

アボ豚(あぼとん)という、アボカドをエサにして育てる牧場のお店のようです。

アボ豚の蒲焼き重(1000円)を食べてみました。
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豚肉がとても柔らかで、特に脂身が甘くてとろけるの。
しっかりした甘辛ダレの味付けで、シャキッとしたご飯の上に乗っていたら、おかわりも欲しくなります。

アボ豚の実力を見ました。
「イベリコ豚より美味しい」と自称していてオッケーっす。

豚カツも豚テキも食べてみたい。

そんな佐原の旅、次回はお土産編で締める予定です。




三河安城その2 まだ食べてます

三河安城レポートその2です。今回で完結します。

 
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まず、梨です。
 
安城の梨は有名なのだそうで、たまに見かける農園から直接買うこともできます。
直接買える農園は、なんらかの看板が出ています。
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農園で選別・箱詰めしている場所を訪ねて、テキトーに袋詰めしてもらってテキトーに買います。
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直接訪ねると、一部が虫食いだったり傷が付いていて売り物にならない個体をオマケでもらえたりします。
 
さて、この安城という、水に恵まれた平らな土地ですが、昔はお城があったそうです。
 
戦乱の世で名前も定かではありませんが、いちおう「安祥」という名前が入ったものだったようです。
 
三河といえば、徳川家康じゃないですか。
 
なにげに家康の数代前に、もっと矢作川の上流のほうから出てきた松平氏が安祥のお城を奪取しました。
これが、のちのち江戸幕府の中心となる松平家が勢力として頭角を現すきっかけとなったらしいです。
 
そんな安祥のお城も、松平家矢作川を東へ渡って岡崎に移り、織田家との境界も変わってお城の意味が無くなり、家康の代で廃城になりました。
 
この、安城(安祥)と岡崎を隔てる矢作川がけっこうデカいのですが、縄文時代は海だったんですね。
周りに貝塚がありまくり、という情報を、安城市の歴史博物館で得ました。
 
歴史博物館には貝塚の展示あるよね〜。
 
ところで、愛知県や岐阜県の国道や県道沿いでは、台湾料理の看板を出している店が目につきます。
赤を基調に、デカい字で分かりやすく書いてあります。
 
それらの味は店によりますが、概して価格の割に量が多くてそこそこ美味しい。
 
そんなお店を一つ見つけたので、作業の合間の昼休みに入ってみました。
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やっぱり多いよ。
1食でだいたい2人分です。
ラーメンと、メインとライスとサラダと小鉢と。
ドリンクも付くでよ。
 
黒酢酢豚を頼んだところ、デカかった。
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写真では見えにくいかもしれませんが、デカい豚肉の塊が前後に2つ入っています。
高級なタンシチューみたいに、肉メインで、他は肉のためのソースぐらいの勢いです。
 
どうしてこんな店が多いのかと検索したところ、まとめが1つ見つかりました。
やや偏見が入っているかもしれませんが、数々の料理の写真をご覧ください。
 
梨、松平、中華料理とバラバラな話になりましたが、堪能した感はございます。