江戸の食いしん坊日記
大晦日にふと手にした本を、寝転びながら読みました。
『幕末単身赴任 下級武士の食日記』
内容はタイトルの通りで、妻も子供も故郷に置いて、お手伝いさんも無し、江戸の長屋で自炊生活の武士の日記から、当時の食事を垣間見ます。
一冊を一日で一気に読んでしまいました。
どうにもこの日記の筆者、本当に酒と食べ物が大好きなようで、自分に似ていると思ったのです。
一人で自炊してもお酒を飲んじゃうの、江戸の武士でもアリだったんですね。
自炊のベースは豆腐料理だったようで、茹でたり焼いたり混ぜたりと、現代と同じかもしれません。豆腐おそるべし。
ちなみに、このブログでも紹介したか忘れましたが、江戸の料理本のベストセラー『豆腐百珍』というのもあるんですよね。
肉と魚は、なんらかのイベントが発生したときや頂き物、あとは酔っ払ってタガが外れたっぽいときに購入するようです。
この日記の筆者、グルメ散歩でハズレの店に入ると、帰りに塩鯖を買って自宅で口直ししちゃいます。
とにかく何か食べたいの、わかる。
ちなみに江戸のファストフードの筆頭は蕎麦です。次いで寿司もポピュラーだったようですね。
風邪をひいたら、治療の言い訳で豚鍋を作り、酒を三合も飲んでいます。
鼻水が出てダルいけど、食欲だけはあるから栄養摂取として普段より多く食べるし、酒は百薬の長と言いますし。
風邪なのにたくさん食べるから、周りには具合悪いと思われないんですよね。わかるわかる。
宴席があれば日本酒4合はイケて、帰りに「お土産」としてまたうなぎとか買っちゃうの。
存分に酔っ払って気分が良くなって、歌って怒られるまでがセットです。
いかん、つい最近の忘年会を思い出す・・・
この本を読むと、同時代で世界屈指の大都市と言われた江戸は、参勤交代で集まった殿様やその従者やそのお世話をする人々でひしめき、そのために商売もできて、おかげで文化や情報が集まってできた人工的な文化都市なのだと感じられます。
それにしても、正月三日目にして、お餅が食べたくなってきました。
かの日記の筆者、お餅も大好きで、故郷の紀州から江戸へ上る道中に宿場町や茶屋で様々な名物の餅を食べています。
「あんころ餅を四つ食べた」
とか、微笑ましいじゃありませんか。四つも食べたのかよというツッコミもあるけど。
お正月に丁度良い読書でした。