急に妄想が湧いたので小説風になったアプリの話
この記事は、「こんなスマホのアプリがあったらいいな」から、使ったらどんなことが起こるのかを想像した話であります。
食材を他の人と分け合うアプリ。ユーザーとして登録し、近所同士でタイミングが合えば集合して分け合う。
◼️話:
ひろ子は水菜を買おうと思った。だが、1袋では多すぎる。いくら半額シールが貼られていても、この梅雨時に6株も入った袋を買う気にはならない。
そこで、食材シェアアプリ「食材シェア太郎(仮題)」を立ち上げ、各項目を入力した。
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駅: 大崎駅(東京都)
待ち合わせ: 北改札 or 南改札 (両方可)
食材: 水菜
分量: 6株
シェア予定価格: 30円
時間: 7月6日(本日) 20:15迄
その他: 青い水玉の傘を持っております。北改札・南改札、周辺ならどこでも可です。
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待ち合わせ時間までは30分ほどあるので、その間に他の食材も見て回る。
ブナピーが1株69円とお安い。カロリーが低いからこれも入れておこう。やはりこれも1人分には多いから、シェアしよう。
そう決めたら、先ほどのアプリの水菜の入力内容をコピーして食材をブナピーを変えて公開する。
どうやら今日はウインナーも安い。278円で2袋なら買いだわ。
急いでまたアプリをコピーし、食材をウインナー「香燻」として公開する。
今日の夕食は、パスタソース「アンチョビガーリックオイル」に適当な具材をからめる予定だ。
その他の栄養素については、ワカメと春雨と人参とオクラのサラダがコンビニで手に入る。
あとは店内でめぼしい新商品などをチェックして回れば完了だ。
20:15まで少し時間が余ったら、ダイソーや本屋を見ていればいい。
そうこうしているうちにスマホの通知が来たのは20時を少し回ったときだった。
「ミカと申します。はじめまして。ひろ子さんのシェア情報を見ました。よろしければぜひ。20:15に南改札まで行けます。水菜と、ブナピーとウインナーもokです!私は赤い水玉の傘を持っています」
首尾よし。
店内の新商品をチェックしてからレジを済ませ、食材を半分に分けて駅の南改札前へ。
赤い水玉の傘を持って、20代半ばとおぼしき女性が立って周りの様子を伺っていた。
ひろ子は買い物袋を右手に、青い水玉の傘を左手に持って相手が気付くように振った。
「ミカさん?」
「あっ、はい、ひろ子さんですか?」
「はい、今日はありがとうございます」
言いながらあらかじめ半量にした食材を買い物袋ごと相手に渡す。
「傘、色違いのお揃いですね」
「そうですね。そこのダイソーで買ったので」
「ですよね。私も・・・」
なんとも気恥ずかしい空気もありながら、食材と現金を交換して「ではまた」と言い合ってそれぞれの方向へ歩く。
似たような食材を半分にする相手は、やっぱり似ているのかな。
今度またミカさんと食材をシェアすることがあったら、何を作るか聞いてみようかな。
そんな想像が膨らむ、ライトなシェア生活の夜であった。
おわり。
水菜のつもりでLINE Brushで絵を描いてみたのですけれども。
⚫️非常にどうでもいい追記
主人公の「ひろ子」という名前は、私が30年来好きな薬師丸ひろ子さんからお借りしました。小説的なものを妄想して名前が必要なときに登場します。