2月14日(土)、田端から神田まで山手線を辿りながら各駅の近くのパン屋さんを訪ねました。
- 田端
ピニョン (Pinignon) は北区の道路沿いのやや古い住宅街にある小さなパン屋さんです。
パンは棚でもショーケースでもなく、レジ横のカゴに数種類が並べられています。
いただいたのは食パンが小さくなった形のクルミ入りパンです。
高級な綿のように繊細で柔らかな感触の生地ですが、少し温めるとしっかりしたコシが感じられます。
なんと、若い女性が一人でパンを捏ねて焼いて売って経営しているとのこと。こんなに美味しいなんてタダモノではない。
- 西日暮里
荒川区、某開成高校の近くの住宅街にある小さなパン屋さんです。
売り場面積はたったの2畳くらいだと思うのですが、様々な種類のパンが壁際の棚に並びます。具材ではく、小麦や生地の違い、そして製法の違いで種類豊富に出してくるので、本格的なパン造りへの自信が伺えます。
私が購入したのは豆乳入り黒豆のリュスティックです。リュスティックとはフランス語で「田舎風」だそうで、水分が多く重量感があり不定形なのが特徴です。
ほのかな甘みと瑞々しくしっかりした生地はいつまでも噛みしめていたい。近くにあったら通うだろうなあ。
- 日暮里
歩いたり走ったりして気がついたら谷中銀座に来ていたのでした。
サンゴダールは谷中銀座のだいぶ日暮里駅寄りにある、昔ながらの佇まいの小さなパン屋さんです。
「シベリア」が有名らしいので買ってみました。写真がもう全然写っていなくて申し訳ないのですが、シベリア、思ったより奥行きが無くてやや淋しくなりました。が、食べてみたところカステラ部分が強い卵風味できっちり甘く、それが羊羹を挟んでいるものですから、デカいとすぐ飽きるのだろうと理解しました。
谷中銀座らしいと言えばらしい、高齢の方が好きそうな味と程よい大きさです。
入谷の近くにあるグーテ・ルブレは、入ってみたら奥行きがあり、種類豊富でソソるパンが大量に置いてありました。
私が購入したのは「石窯カレーパン」で、ポットパイのような形のパンに、通り一遍ではない本格カレーが包まれたものです。玉ねぎたっぷりかつフルーツの甘みがあり、後からじわじわと辛さが来るやつです。
看板には「ようこそ!パンのバラエティーショーへ」、袋には「パンと遊ぶ」とあるのですが、小手先ではなく本気で遊んでいることが感じられる味でした。
- 上野
上野公園に新しくできた飲食店ビル「サクラテラス」の中にある、イーアコッペというコッペパン専門店でたまごサンドを買いました。
粉の食感と風味のあるしっとりスタンダードなコッペパンに、てんこ盛りの卵サラダは満足度が高いです。
他のメニューがまた、肉じゃがサンドやステーキサンドなど魅力があふれるラインナップですが、基本のあんバターも次回はぜひ食べたいです。
上野松坂屋の地下にある「アルサスロレーン」で穀物バターロールを購入しました。雑穀の粒の歯応えと濃いバターの風味がパンを食べている実感をもたらします。
ヨドバシとつくばEXの入口の間にあるマネケンでプレーンワッフルを買いました。全盛期の行列はもう無いけれど、幸福感をもたらす甘さと風味は健在です。
- 神田
この日のラストは、ボンクール (Bon Coeur) でリンゴデニッシュをば。ゴロっと存在大きな角切りりんごを濃い卵風味のカスタードクリームが支え、そのたっぷりした中身をバランスよくデニッシュが包み、夢のようなひとときを与えます。
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というわけで回った山手線第1象限ですが、北区や荒川区といった住宅街があるおかげで、生活に根付いた本格的なパン屋さんに何軒も突入することができました。実行したのが土曜のお昼だったこともあってか、地元らしきお客さんがたくさん入っている店が多かったです。
正直、今ふりかえると、前回の東京駅から大崎駅まではビジネスエリアだったため土曜に開いている店が限られていて、かつビジネスの無いビジネスエリアは茫漠としていました。
土曜日の山手線北側では、パンの焼ける香ばしい匂いに包まれて幸せそうな風景に出会えました。出会い続けました。
視点によってエリアの分け方も変わるのだなあとパンを食べながら思った2月の土曜日でした。