高岡ノスタルジー
生まれてから一度も富山県内に泊まったことがありませんでした。
東北出身、関東在住、これまで四十数年生きてきて、1回ぐらいは泊まったことがあるだろうと漫然と思っていたけれど、記憶に行き当たりませんでした。
旅行で通過したことは何度かあるのですが、この2018年の連休、ついに富山宿泊の空白を埋めることができました。
高岡市は、普通の住宅地でも土蔵の匂いが漂う少し不思議な街でした。
夕暮れ時の後ろ姿に哀愁を感じる大仏様が住宅地の中にあり、雰囲気を出しています。
この近くに高岡古城公園があり、江戸時代の初期に焼失した富山城の代わりに前田家が造ったお城があったそうです。
1615年の一国一城令であえなくお城は取り壊しとなりますが、せっかく造ったし、どうにかして出張所のような体裁で使われていました。
これが良かったのかもしれません。
藩主の前田さんは鋳物の産業を誘致して、その町並みの面影が今でも残っています。
そして何かどうも、建物が昔の木造ではなく近代の家になっても、土地の割り方や家の並び方は昔のままのようなのです。
連綿と息づいている目に見えない何かのせいで、蔵や昔の建物がなくても土蔵の匂いが薄っすら漂っているのかなあ、と想像を巡らせました。
これという明確なランドマークは大仏様以外になく、いわゆる「インスタ映え」の対象は無いのですが、匂いと普通の住宅街に微かなノスタルジーを感じる街でした。
近く(40kmくらい)に金沢があり、遠くから訪ねる人はそちらへ行ってしまうのもあるかもしれませんが、連休の日曜日というのに観光客はほとんど見かけませんでした。
というか、居酒屋ほとんど閉まってるー!?
全く観光を当てにしていないご様子です。
駅前にあった、カウンターだけの小さな飲み屋が開いていて、美味しかったので助かりました。
やっぱイカだよねー
月並みであっても、この地に来たなら頼まずにはいられないホタルイカの沖漬けは、海が凝縮した雫であります。
お刺身も間違いない。
北陸に来て、ブリの美味しさを再発見しました。身が締まっていて脂も乗ってるやつです。
山菜の天ぷらも採れたて(たぶん)サクサクです。
この日いただいたのは、コゴミとコシアブラ(店主の発音は「コシャブラ」でしたが、あとで調べて判明)で、どちらも関東ではそれほどお目にかからないものです。
高岡という、心の置き処を見つけた2018年の連休でした。
大仏さん、またね。