読むめし

口で咀嚼するたけでは足りず、観念でも食べ物を愛でようとする人間

記憶がめくれる。ドイツの白ワイン

しばらく更新が途絶えてしまいました。

 
ネタはあちこちに漂っている気がするのです。
しかし、ここで文章にする手前の線で、曖昧な顔をして奥の方に引っ込んでいるのです。
 
しょうもない食べ物の話を、軽く書くのでいいと思うんです。
ここはそういう場所のはずでした。
 
それなのに単細胞の私は、日々の仕事に脳みそを引っ張られ揺さぶられ、リソースが足りなくなっていたのでした。
 
今回は、とても美味しいと思ったものを皆さまにお知らせします。それだけです。
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ドイツの白ワインです。
 
知人からお土産で頂きました。
 
ドイツ南西部、フランス国境にも近い、Baden-Baden地方のものです。
 
ラベルには、
 Schloss Neuweierer Riesling
 Kaztzenellenbogen
等とあり、単純な翻訳では単語が検索できないけれど、わりと普通のドイツ語っぽい文字が並んでいます。
 
バーデンバーデン。その響きのまま、古くから温泉が湧き出て保養地として知られる場所だそうです。
 
いわゆるライン川のほとりにございます。
ライン川といえば、ライン下りで川岸の古城とブドウ畑を眺め三昧の道楽です。
川岸の古城を囲むブドウ畑は、ドイツの白ワインをつくります。
 
日本では1990年代前半くらいまでSchwartz katze (黒猫)、LiebfrauMilch (聖母の乳)という2大ブランドが酒屋に並び、それまでワインなんてフランス料理屋で飲むものと思っていた人々が、自分でも美味しいと思えるしお手頃な価格のワインと出会った時代がありました。
 
あれから20年。
 
ワインはさらに安く、新大陸の赤白ワインが、ビールよりもお安くスーパーで買えるようになりました。
 
ドライで適度に酸味もあり、様々な料理にも相性が良い新大陸のワイン、私も何年もそればかり楽しんでおりました。
 
しかし不意に今、ライン川のほとりのワインを飲んだところ、暁にやがて消える露あるいは涙のような味がしたのでした。
 
舌に刺激を感じるギリギリの絶妙な酸味、その先端に詰め寄る葡萄の果実味、そして予期せぬ、しかしナチュラルに昇りたつ微かな泡です。
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何年もドライでお手頃なのいいと思ってきたけれど、確実に大地に佇む果実のアルコールがありました。
 
料理に合わせるドライな白や、料理のスパイスにすらなる赤など様々な方向がある中で、そのものをただ飲むやつもあったよね。
 
って、忘れないように書いています。