読むめし

口で咀嚼するたけでは足りず、観念でも食べ物を愛でようとする人間

修善寺日記 その2

11月の下旬に尋ねた修善寺その2です。今回で完結します。

晴れた日は、さすが静岡、富士山が雲を引き連れて聳えていました。
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そんな自然の中、自転車に凝っている人(?)の間ではそこそこ有名らしい、修善寺サイクルスポーツセンターに行ってみました。
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屋内も屋外も、実際の競技で使用されるコースが各種揃っています。
屋内の競技場はベロドロームという名前で、この日は自由に客席に出入りでき、入ってみたらガチのレースに出くわして迫力ありました。
ちなみにベロドロームとはフランス語で、Veloが自転車、dromeが競技場なんだそうです。Wikipediaより。

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屋外の競技コースをひとつ、自転車を借りて実際に走ってみました。

上の写真では紅葉がきれいで平和そうですが、実際は上りと下りの連続で、下りはバランス感覚、上りは坂を登り切る筋力や持久力が必要で、自転車競技の多数の身体的要素を痛感しました。

からの、クラフトビールのブリュワリー見学です。
山の風景を眺めながら冷えたクラフトビールをいただけます。
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3種類飲み比べセットで800円、しかも選択肢がたくさんあって、迷ったらカウンターでいろいろ聞けます。
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ブリュワリー見学では、ビールに使われる各種の麦をその場で数粒、食べられます。
甘さがじわじわきます。

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自宅のベランダで30リットルから始まったビール造りが次第に拡大する様子は、歴代のタンクとともに、各地のブリュワリー見学が趣味という筋金入りの説明員さんから語られます。

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静岡県内の柑橘系果実の風味を積極的に取り入れているようで、手作業で皮を剥いたり、家庭にあるようなレモン絞りを使ったりとアナログな面を残しています。
柑橘風味のクラフトビールって美味しいよね。

このベアードビール(Baird Beer)は、アメリカ人のベアードさんと日本人の奥さんが始めたもので、味も経営も何もかもセンスありまくりでズルいわー、とさえ思う銘柄です。

さて、そこから修善寺の市街地方面へ戻り、紅葉がライトアップされている「虹の郷」へ。
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控えめな和風の照明が巧い。
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人出はそこそこあり。
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園内にお店があり、これがまた和風の店構えで地物を扱っています。

お土産は、おろしワサビチューブと、「ニュースコ」という静岡産の柑橘類のタバスコを買ってきました。

おろしワサビチューブ、ワサビの食感はサクサクしているけど、ガツンとくる訳ではなかったです。
逆にスーパーで売っている普通のワサビって美味しいんだなと思いました。

ニュースコは、トロみがあってすぐに無くなってしまうけど、ジューシーで美味しかったです。
白身魚のソテーや唐揚げに合います。

また一つ、静岡の街を満喫しました。

修善寺で秋を食べるよ


初めて訪ねましたよ修善寺

山あいの川沿いで、時代に取り残されることもなく、変に商売っ気を出すこともなく、素で佇んでいる風でした。

修善寺の街に着いて、ガイドブックも見ずに昼ごはんでふらりと入った小さなお店がとても良かったです。

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ふろふき大根ゆず味噌のせがサービスで出てきました。
晩秋あるいは初冬にシンプルに暖まります。

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修善寺の名物って何でしたっけ。
調べても明確には出てきませんでした。強いて言うならまあ蕎麦とワサビかなみたいな、そこらへんも突出しないですね。

お蕎麦も美味しゅうございました。
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このお店で一番美味しかったのは、スナギモの味噌漬けを焼いたものです。
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スナギモのサクサクした食感と弾力が普通のやつよりあって、味噌の甘みとコクが充実感をもたらします。
焼鳥専門店でもこんな美味しいスナギモは食べたことがないというか、味噌漬けの調理方法自体初めてでした。

からの、修善寺の街の中心、修禅寺です。
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西暦807年に空海が建てたと伝えられています。
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温泉が好きだったのかしら。
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お寺はそんなに大々的な規模でもなくて、これまたシンプルなほうでした。
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手を清める水が暖かかったのがまた地味なサービスです。
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それから、それほど大きくない街を川沿いにぐるりと回って、おろしワサビを買いましたよね。
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修善寺の大事件というと、源頼朝の息子が、北条方によって暗殺されたらしいです、温泉に入っているときに。
それにまつわる史跡がぽつぽつありました。
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看板の色合いがカッコいい。
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店なのかさえ分からない陳列もあり。

雨の日でしたが、一瞬の晴れ間を捉えて公園の紅葉を撮ります。
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そしてまた雨
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さて、夜はフレンチをいただいてしまいました。
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小さいけれど、やっぱり細かいサシの入った牛肉は美味しかったなあ。
外側の焦げ目がパリっと薄く香ばしく、バルサミコのソースの酸味と、濃厚かつ肉汁ジューシーでございました。
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デザートのプレートが、これでもかと言わんばかりに何点も乗っていて、殴打されまくりでした。
奥から順に、ブドウのソルベ、キャラメルで煮たリンゴ入りキャラメルムースケーキ、リンゴのコンポート、甘さ控えめチョコアイス、柑橘系の皮の砂糖煮、濃厚チョコクッキー、です。

今回の記事は(ほとんどいつもですが)見て撮ったものをつらつら並べて書きました。

ザーッと写真を眺めてお楽しみください。
と最後に書いてすみません。
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多摩リバー100km、すみません自転車です

事情が重なり、自転車を購入しました。

ガチではないけど、そこそこスポーティなやつです。

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さて、いきなり行って参りました、「たまリバー50km」略して「多摩サイ」?、略さないと「多摩川サイクリングロード」みたいなやつです。
往復100kmになります。

私は川崎の六郷橋(河口から約3km)からスタートしましたよっと。

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六郷橋のたもとに行くまでコースがどちらにあるのか知らず、川崎側でスマホから調べた結果、全コース多摩川左岸すなわち東京都側と分かりました(そこで知った)。

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少し行くと現れたサザンクロス的な楼閣の街は何かと思ったら、武蔵小杉でした。

しばらく会わないうちに大きくなったねえ。
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ところでこのコースを走ったのは土曜日だったのですが、ランニングをしている人のほうが圧倒的に多かったです。
5倍以上の差はありました。

これまではランナーの立場でいつくかの河原を走ったことがありますが、自転車の立場で走って改めて「歩行者優先」の注意書きが多く目に入りました。

河原道は比較的広くて平坦で、市街地に比べて景色が変わりにくいため、灼熱の日の荒川なんてひどかったなあ、追い越して行く自転車が恨めしかったなんて思い出して優越感に浸る部分もたしかにありました。

しかし一方で、 自転車がラク過ぎてカロリー消費してないという焦りも付いてきました。

優越感と焦りに挟まれながらの小トリップです。

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そしてケツが痛い。

初めての硬くて細いイス(サドルと呼ぶらしい)ですから、100km走ったら痛くなりますわな。

ツーケーの休憩を取りながらの走行です。

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わあ多摩川狭くなったねえって思ったら、河川敷なのに道に迷って別の細い流れを辿っていたなんてこともありながら、
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さくっとゴールに着きました。

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ゴール地点は羽村玉川上水取水口です。
(2年前は玉川上水を辿って40kmランニングでここまで来たのでした。)

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今回は対岸に渡り、土手に自転車を置いて羽村の歴史資料館(無料)を見学してからの帰路です。

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柔らかに射す午後の日を浴びながら。
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ツーケーの休憩を取りながら、次第に日が暮れて行きます。
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川崎まで戻って来たで。
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多摩川の向こうに富士山のシルエットが浮かんでいました。
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再び六郷橋を渡ります。

痛くなった身体の箇所は、ケツ、腰、腕と膝でした。
脚の疲労は全くありません。

消費カロリーが不明のまま、多摩川コースを往復した達成感から肉を焼いたり弁当を食べてしまいました。
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今までママチャリにしか乗ったことがありませんでしたが、身体が拡張されたように意のまま以上に速く走る自転車があるものなんですね。

さてさて、私はどこへ行ってしまうのでしょうか。

新卒の女の子から来たメルマガ

就職難と年代を照らし合わせると、私はかなり悲惨なほうです。

学校を出たのは、氷河期の中でも谷底だった2000年の4月でした。

いろいろ世の中の訳が分からなかったので就職せず日銭を稼いでいたりした末に、リーマンショックで派遣切りに遭いました。

死ぬかと思いましたが一命は取り留めて、次第に開き直って今がありますが、就職とは、雇用とは、労働とは、といった問題は、まだ真正面から向き合えないほどの痛みをともなって渦巻いています。


さて昨日、派遣先の会社のメールに、頼んでもいないメルマガらしきものが届きました。

以前に機器のレンタルを依頼した会社からでした。

読み飛ばそうとしたのですが、つい全部しっかり読んでしまいました。

文章は、
「人気機材や新入荷などホットな情報をお届け」
と正直な目的から始まるのですが、メルマガ第1回目でそれに続いたのは、思いがけない投げかけでした。

「食レポしたことはありますか?」

お?このブログがそうっちゃそうだよ?

「私、食レポは苦手なんです。うまい言葉が出てこなくて」

わっかるー。

「でもお酒が好きなので、学生時代のアルバイトで試飲の販売員をしたことがあるんです。そのとき、味を表現するのにとても苦労しました」

「その問題を解決したのは、数字でした。お酒の特徴を、データから説明したのです。だから数字は、私を助けてくれるものとなりました。」

そっちに行ったのね。

「そんな私が、数字を示すお手伝いを精一杯させていただきます。お困りの際はご相談ください!」

そう来たかー!

いやあ、食レポで引き込まれたけど、読み終わって思ったのは、

最近の新卒の自己分析と表現力ハンパない

でした。

私は氷河期の谷底でも、そんなにきちんと自己分析しなかったよなあ。

就職で悩んで、ガリガリ自己分析して苦しみながら表現を掴むことは、かなり良いことだと思うのです。

(現在公開中の映画『何者』と原作の小説は、そんな現代の就活に向き合った稀有な作品だと思います。)


売り込みのメルマガなのに、私は彼女に返信したくて仕方ありません。

一行目にはきっと、
「就職おめでとうございます」
と書くでしょう。

祝いのお酒は何が嬉しいですか?

・・・たしかに数字で示してくれると探しやすいかも。

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(写真はある日の西小山です)

横須賀で軍艦に初めて乗る。

横須賀の街は、走ったり歩いたり、なんやかんやで結構訪れていたのですが、象徴的に海に浮かんでいる、あの軍艦に乗ったことはありませんでした。

あの軍艦とは、京急横須賀中央駅を降りて数分、海の間際にある三笠公園です。
三笠公園の海にたゆたっているのは、戦艦三笠であります。

戦艦ってさ、なんかこう、そういうの好きな人とか、よっぽど遠くから来た旅行者が見学するんでしょ?
という認識で、わたくし何度も横須賀を訪れていたのに入ったことがありませんでした。

今回初めて内部に入ってまず思ったのは、ヨーロッパの貴族っぽいということでした。

内装や調度品が、
「戦時中じゃないの?鬼畜米英じゃないの?」
と不思議になる絢爛ぶりでした。

無教養で恐縮でございますが、日露戦争では米も英も味方だったのね。

そんで、迫り来るロシアに脅威を感じた日本は、イギリスに戦艦を発注するのですね。
なるほど英国貴族風の内装な訳です。

で、日露戦争といえば日本が大国ロシアに勝利した戦争ですが、そのときに最も活躍したのがこの戦艦三笠だったようなのです。